旅行業務取扱管理者は旅行業務に関して営業所の「管理・監督者」的立場となります。
取引に係る取引条件の明確性、旅行サービスが確実に行われるか、取引が公正かどうか、旅行の安全及び旅行者の利便を確保するために必要な事項について管理・監督をする実務者です。
(旅行サービスの料金、、広告、旅行業約款、苦情の処理などの実務を行う者をいいます。)
目次
旅行業務取扱管理者の選任と業務
旅行業登録をするには営業所に最低1名以上が必要!
旅行会社は営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。
また、国内の旅行のみを取り扱う営業所の場合は総合旅行取扱管理者または国内旅行取扱管理者のどちらか、海外旅行を取扱う事営業所の場合は総合旅行取扱管理者を選任する必要があります。
もし1人しか従業員がいない営業所の場合はその者が必然的に旅行業務取扱管理者となります。
他の営業所との兼務は禁止されておりますので、営業所ごとの選任が必要です。
10名以上の従業員がいる事務所の場合は2名以上の旅行業務取扱管理者の選任が必要となります。
仮に、旅行業務取扱管理者が欠けてしまった場合においては、新たに旅行業務取扱管理者を選任するまでは旅行業務に関し契約締結をすることができなくなりますのでご注意してください。
旅行業務取扱管理者の職務
旅行業務取扱管理者は営業所における旅行業務に関しての以下の業務が適切に行われているかどうかを管理・監督する職務があります。
主な職務
- 旅行業務取扱い料金の提示に関する事項
- 取引条件の説明に関する事項。
- 旅行に関する計画作成に関する事項。
- 契約書面の交付に関する事項。
- 旅行業約款の提示及び備え置きに関する事項。
- 旅行の苦情処理に関する事項。
- 企画旅行の広告・誇大広告の禁止に関する事項。
- 契約内容に関する重要事項について明確な記録または関係書類の保管に関する事項。
- 企画旅行の旅程管理業務に関する事項。
- ①~⑨に掲げるもののほか取引の公正、旅行の安全および旅行者の利便を確保するため観光庁長官が定める事項。
旅行業務取扱管理者の証明書の提示
旅行業務取扱管理者は、旅行者から請求があったとき、旅行業務取扱監理者証を提示しなければなりません。
様式は国土交通省令によりさだめられており、発行は各旅行会社等が自ら行うこととなります。
旅行業務取扱管理者になるための資格!?
旅行業務取扱管理者試験に合格した者のみが旅行業務取扱管理者になることができます。
旅行業務取扱管理者試験は旅行業務取扱管理者の職務に関し必要な知識と能力を判定するのが目的で観光庁長官が行う国家試験です。
試験には①総合旅行業務取扱管理者試験と②国内旅行業務取扱管理者試験の2種類があります。
この試験は日本旅行業協会(JATA)が総合旅行業務取扱管理者試験を全国旅行業協会(ANTA)が国内旅行業務取扱管理者試験をそれぞれ実施します。
総合旅行業務取扱管理者試験 実施状況
海外旅行を含む、すべての旅行業務を取り扱うための知識および能力を問う試験です。
実施機関:日本旅行業協会
試験日:10月中旬
試験科目
- 法令及びこれに基づく命令についての知識。
- 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款に関する知識。
- 国内旅行実務 本邦内の運送機関及び宿泊施設などの利用料金その他の本邦内の旅行を取り扱う旅行業務に関連する料金に関する知識。
その本邦内の旅行を取り扱う旅行業業務に関する実務処理の能力。 - 海外旅行実務
(1)本邦外の運送機関の利用料金その他本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に関連する料金に関する知識。
(2)旅券の申請手続き、通関手続、検疫手続、為替管理その他の本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に必要な法令に関する知識。
(3)本邦外及び主要国における出入国に必要な手続きに関する実務処理能力。・主要国の観光に関する知識。
(4)本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に必要な語学に関する能力。
(5)その他本邦外の旅行を取り扱う旅行業務に関する実務処理の能力。
国内旅行業務取扱管理者試験
国内旅行に関する業務のみを取り扱うための知識を問う試験です。
実施機関:全国旅行業協会
試験日:9月中旬
試験科目
- 法令及びこれに基づく命令についての知識。
- 旅行業約款、運送約款及び宿泊約款に関する知識。
- 国内旅行実務
本邦内の運送機関及び宿泊施設なの利用料金その他の本邦内の旅行を取り扱う旅行業務に関連する料金に関する知識。
その本邦内の旅行を取り扱う旅行業業務に関する実務処理の能力。
旅行業務取扱管理者まとめ
旅行業務取扱管理者は、旅行業登録をする上での人的要件の一つとなます。
旅行業法に関して一定の知識のある方が営業所にいれば、消費者である旅行者も安心ですし、万が一トラブルが発生した場合にも管理・監督者の指示のもと適切な対処が行われると思います。
また海外業務を取り扱う場合には、総合旅行取扱管理者の設置が求められる点も注意しましょう。