インバウンドビジネスは今もっとも旬なビジネスです。
これまで日本国内しか取り扱いがなかった旅行代理店においても、海外旅行社との提携を進め参入してますし、
新たにインバウンドビジネスを始める事業者も多くおります。
しかし、日本でインバウンドビジネスを始める場合には許認可の取得が必要となる場合があります。
例えば、海外の旅行会社から団体訪日旅行の手配を依頼された場合には、旅行業登録または旅行サービス手配業の登録が必要となります。
また、インバウンドに合わせてアウトバウンドも行う場合には、旅行サービス手配業ではなく、第三種旅行業であったり、第1種旅行業登録が必要となります。
つまり旅行業の登録職種の中でどのような登録職種にすればよいのかは、自分のビジネスモデルによって異なってくるのです。
さらに、通訳案内士制度が緩和されたことにより、新たなビジネスも生まれておりますが、人材紹介業の許可が必要である可能性もあるのです。
日本は世界的の中でも規制大国と呼ばれるほど、ビジネスを始めるのに許可や認可、登録等が必要な国です。
ビジネスを始めるためには、事前に許認可の申請が必要となる可能性が高いのです。
そこで今回は、インバウンドビジネスを始める場合に必要となる可能性のある許認可について案内をしていきたいと思います。
ただし、許認可は非常に複雑な場合も多くありますので、自分だけで判断せず、行政書士などの専門家へ相談されることをおすすめ致します。
目次
海外の旅行会社と提携して訪日観光ツアーを取り扱う場合
訪日観光客は毎年右肩上がりに増加しており、2020年のオリンピックまでに4千万人、2030年には6千万人にすることを発表しております。
これまで、日本政府の目標は前倒しで達成していることからも、今回の目標も達成してくるでしょう。
つまり、今からでもインバウンドビジネスに参入するチャンスは十分あると言えるのです。
そこで、まずはじめに、訪日観光客へ日本ツアーを販売する場合にはどのような旅行業登録が必要となるのかを考えてましょう。
海外の旅行会社と提携して団体旅行の手配をする
訪日旅行形態は、団体旅行からFIT(個人旅行)へ毎年シフトしている傾向はありますが、それでもまだまだ団体旅行は多いです。
また、将来的に団体旅行がなくなることはないでしょう。
そのため、訪日団体旅行を取り扱う旅行会社と提携をすることができれば、訪日団体旅行手配ビジネスへ参入することが可能です。
それでは、訪日団体旅行の手配ビジネスはどのようなものかご案内していきます。
まず、海外の旅行会社が日本のツアーを現地で販売します。
例えば、日本の東京都と北海道3泊4日の旅で5万円の価格で広告を出してツアーを募集します。
また通常の団来旅行では催行人数(ツアーが実施となるかどうかの最低人数)が決まっておりますので、集客できた人数が催行人数以下の場合はツアー中止となり、
催行人数以上の場合にはツアーが実施されます。
現地企業側の訪日団体旅行販売の流れは概ねこのような流れとなります。
しかし、海外の旅行会社で日本に支店がある企業は多くはありません。
そのため、日本の情報を正確にかつ早く知ることができません。
例えば、北海道大震災の被害発生後の回復状況や台風などによる水害状況の回復状況など。
もし、日本に事業所がありスタッフがいれば生の情報を見ることができますが、日本で支店を開設するには大きな投資が必要です。
また、日本のツアーを造成する場合には、ホテルや観光バス、飛行機や観光アクティビティー施設と事前の販売契約をしておく必要があります。
一方で、日本にあるホテルや観光バスなどの施設を経営している事業者としても、海外にしかない事業者との直接契約はリスクが多く契約をしたがりません。
理由は、海外現地企業がしっかりと代金を支払ってくれるのかどうかが不安ですし、万が一のトラブル発生時に海外業者である場合には対応ができるかわからないからです。
トラブル時に音信不通となってしまったり、売掛金の回収ができなくなってしまうケースも考えらえるからです。
そこで活躍するのが、海外の旅行会社と日本の施設(ホテルやバス等)の間に入る、ランドオペレーター(旅行サービス手配業者)です。
このランドオペレーターの仕事としては、海外の旅行会社へ質の高い日本旅行の情報を伝えること、さらに海外の旅行会社の指示のもと、日本のホテルやバスなどの予約手配をすることです。
団体旅行には、老若男女おりますので、細かな気配りも必要です。
また、季節によっては繁忙期となり、ホテルや飛行機が取れなくなります。
その場合に他の輸送手段を検討したり、比較的予約が取りやすいホテルを提案したりもします。
また、台風や地震などが発生した場合にも、瞬時に他の輸送モードやホテル確保を行います。
まさに、旅行手配のスペシャリストなのです。
そして、海外の旅行者が楽しく快適に訪日旅行を楽しむことができるのはランドオペレーター業者がいるからなのです。
ランドオペレーター(手配サービス旅行業)をするには登録が必要
海外旅行会社が販売した訪日ツアーに関して、日本側で訪日団体旅行者のホテルや飛行機などを手配する事業者をランドオペレーター(手配サービス旅行業)といいます。
しかし、ランドオペレーター(手配サービス旅行業)の営業をするには、事前にランドオペレーター登録(旅行サービス手配業業)の手続きが必要です。
また、無許可で営業を実施している場合には罰則がありますので絶対にやめましょう。
ランドオペレーター登録(旅行サービス手配業)はどこで手続きできるのか
ランドオペレーター登録は>営業所がある都道府県知事の登録をする必要があります。
登録には要件がありますが、旅行業登録ほど厳しい要件ではありません。
ただし、法人の事業目的や管理者など事前に確認をしておかなければいけない事項も多くあります。
ご自身での登録手続きが難しい場合には、旅行業登録の専門家へ相談してみると良いでしょう。
訪日旅行者へ地元密着のツアーを販売
訪日旅行は団体型から個人型(FIT)の旅行形態へ年々シフトしてきております。
これまでは、20名以上が一つのまとまりとなり、団体バスを貸し切り日本を観光していました。
しかし、より自由な旅行スタイルが人気となり、家族単位や2人などの訪日旅行者(個人型)が増えております。
また、1回目の訪日旅行は団体型で旅行を楽しみ、2回目からは個人型に移行する流れもあります。
一般的に団体旅行に関しては有名な観光名所を巡る傾向が強く、個人型に関してはソーシャルネットワークなどを見て自由に観光地を選択する傾向があります。
そこで個人型の訪日旅行者に対して、地域密着で旅行商材を販売している旅行会社も増えております。
しかし、地域密着型のオリジナルツアーを販売する場合には旅行業登録が必要です。
実際には、第三種旅行業登録、地域限定旅行業登録を検討し、より広域となる場合には第二種旅行業登録を検討することとなります。
第3種旅行業登録業者と地域限定旅行業登録業者の業務範囲が拡大
第3種種旅行登録業者と地域限定旅行業登録業者の業務範囲が拡大しました。
これまでは、国内の募集型企画旅行(パッケージツアー)を実施する場合には、第二種旅行業登録が必要でした。
しかし、旅行業法の改正により、第3種旅行業登録事業者と地域限定旅行業登録事業者においても、一定地域の募集型企画旅行を実施することができるようになりました。
つまり、地元密着のパッケージ旅行であれば、第三種旅行業、地域限定旅行業者でも企画販売することができる可能性が高くなったのです。
例えば、営業所がある市町村内や隣接している市町村内に有名な観光地があればその観光地と宿泊ホテルを組み合わせたパッケージ商品を販売することができる可能性があるのです。
まさに、地元密着のパッケージツアーを国内外に販売することができるようになったのです。
ただし、営業所がある市町村や隣接市町村を超えたパッケージツアーを企画販売する場合には、第二種旅行業登録が必要となります。
一方で、第三種旅行業や地域限定旅行業に比べて第二種旅行業登録の資産要件は厳しくなりますので、事前にビジネスモデルと登録要件を十分確認すると良いでしょう。
人材紹介業や人材派遣業が必要となる可能性
旅行業法の改正と同時に通訳案内士制度も緩和されました。
このため、訪日外国人向けにガイドマッチングアプリなどを開発する事業者も現れております。
また、訪日観光者向け専用のガイドやドライバーを育成して紹介する人材紹介業者も増えております。
ただしこの場合には人材派遣業や人材紹介業が必要となる可能性があります。
ビジネスモデルと必要な許認可をよく確認して事業を開始しましょう。
また、ご自身での判断が難しい場合には専門家へ相談をしながら進めることをおすすめします。
インバウンドビジネスに必要な資格や許可についてまとめ
日本を訪れる訪日外国人は年々右肩上がりに増えております。
そして外国人観光客が増えれば、新たなビジネスも生まれます。
さらに、法律が整備されたり、緩和されたりと成長産業だからこそ目まぐるしい変化も起こるのです。
今回ご紹介したインバウンドビジネス以外にもインバウンド関連ビジネスは無限にあります。
ビジネスを開始する前には、どのような許認可が必要であるのかをしっかりと確認して、チャンスを掴んでください。