インバウンドを中心に注目されている、医療ツーリズム。
ビザの緩和により、訪日しやすくなったことから、アジア圏の富裕層においては、日本の高い医療技術を受けるために日本を訪れるようになりました。
そこで、今回は、非常に注目されている医療ツーリズムについての知識を確認していきたいと思います。
ただし医療ツーリズムをする場合には、旅行業登録または旅行サービス手配業登録が必要となる可能性があります。
しっかりと登録をしてから医療ツーリズムを進めていきましょう。
目次
医療ツーリズムとは?
医療ツーリズムを受けている方の多くは、自国で適切な治療を受けることが難しい方が、健診や治療を受けるために渡航することを言います。
そして、医療ツーリズムとは、Medical Tourismと言われている側面もり、『医療観光』が目的とされております。
つまり、健康診断を目的として訪日した外国人向けに、ついでに観光をしてもらおうという考え方か基本となっているのです。
医療ツーリズムは目的別に3分類
医療ツーリズムは『医療サービス』を受けるために他国へ行くことです。
そして、医療サービスは目的により3つに分類することができます。
医療サービス3分類
- 治療
- 健康診断
- 美容、健康増進
治療を目的とした医療ツーリズムの場合は、観光の比重が低いのが特徴です。
また、緊急性が高い病気の治療が中心となります
具体的な治療としては、ガン治療や心臓病治療、臓器移植などの高度医療があげられます。
特に人気が高まりつつある、人間ドックを中心とした健診のために訪日します。
日本の高い医療技術をを受けるついでに、観光もするのです。
美容や健康増進を目的とした医療ツーリズムの場合には、医療よりも観光の比重が大きいのが特徴です。
具体的には、観光にあわせて、エステやスパなどを受けるケースです。
医療ツーリズムを受ける方はどんな方?
医療ツーリズムを受ける方の多くは、自国で適切な治療や検査を受けることが難しい方です。
例えば、アメリカなどでは医療費が高額となり、適切な治療を受けることができない場合や、
中国、ロシアなどでは優れた医療施設がないため、日本を訪れて、人間ドックなどを受けるのです。
当然、これらの外国人は治療を受けることが目的であり、観光が第一目的ではありません。
医療ツーリズムに力を入れている国
医療ツーリズムに力を入れている国としてアジア圏では、タイや韓国、インドなどです。
当然、多数の国の患者を受け入れていくには、言語の問題や他国の文化に加え宗教などの対策が必用です。
そして、患者のビザ申請など、付随したサービスをしっかりと提供することが求められているのです。
また、韓国では美容整形に対してのニーズも多く、ソウルやプサンなどには毎日、多くの美容整形希望者が集まります。
そして、タイ、インドなどにある優れた病院の多くは株式会社化しております。
また、世界の患者から信頼を得るために、国際的に医療を評価するJCI(Joint Commission International)の認証を取得する病院も多いのです。
日本の医療機関は外国人の受け入れにまだまだ消極的
日本の高い医療技術は世界的にも注目されております。
また、近年は訪日観光客を増やすという国策の影響もあり、ビザが緩和されています。
その影響からか、特にアジア圏の富裕層は、『安全、安心、高い医療サービス』を受けることができる日本の医療に対して高いニーズがあるのです。
一方で、日本の病院やクリニックにおいては海外の患者を積極的に受け入れようしている所はまだまだ少ないのが現状です。
理由としては、日本の医療ツーリズムにおいては課題や問題点も多く残されているからです。
日本の医療ツーリズム課題
中国をはじめとするアジア圏においては、日本の高い医療に対する需要は高まる一方です。
しかし、日本の医療機関は、外国人患者の受け入れにおいてはまだまだ消極的な施設が多いです。
そして、多くの医療機関が積極的になれないのには5つの理由があります。
日本の医療機関が抱える課題
- 正しい医療知識を備えた通訳者が不足している
- 病院の手配や渡航中の手配をするコーディネーター不足
- 患者が直前にドタキャンするリスク
- 日本の国民健康保険を使い不正に医療を受ける
医療サービスにおいては言葉の壁を解決することは一番重要な課題です。
なぜなら、どんなに高い医療技術があっても、患者の同意なしには医療は成り立たないからです。
そこで、一定以上の医療知識を有している通訳者がいることは医療ツーリズムにおいては必須といえるでしょう。
医療ツーリズムの手配を行うには、旅行業や旅行サービス手配業の登録が必用となるケースが多くあります。
一方で、無登録でサービス手配をしている事業者も多く存在します。
トラブルを防止するためにも、登録が必用となる場合は必ず登録手続きをした後にサービス提供をしていきましょう。
医療機関側にとって、急遽のドタキャンは非常に収益を圧迫します。
また、文化や宗教の違いから医療サービスに対して、患者とのトラブルに発展するリスクもあります。
そのため、医療機関にとっても、外国人の受け入れは日本人よりもリスクが高いのです。
医療ツーリズムなど、医療を目的とした来日の場合には、医療滞在ビザの取得が必用です。
また、医療ビザの場合の医療費は全額が自己負担となります。
そのため、医療ツーリズムではなく、別の名目で訪日し『ついでを装って』高額な医療を受けるケースもあるのです。
国民健康保険制度とビザ
外国人においても、3か月以上日本に在留する方は健康保険に入る義務があります。
つまり、3か月以上の滞在資格を得ることができるビザを取得することができれば、日本の公的医療機関を使えるのです。
そのため、日本で起業をした場合や会社の役員となった場合に与えられるビザ、『経営・管理ビザ』を利用して高額医療を受けるケースが増えております。
経営・監理ビザとは、日本で会社を経営する外国人に対して与えられるビザであり、起業などのために500万円ほどの資金が必用となります。
しかし、経営・監理ビザの取得ができれば医療費負担が1割から3割程度となるため、起業をしてでも国民健康保険に加入した方がメリットが高いのです。
また、国民健康保険に加入している場合には1か月の上限を上回り支払った医療費においては返金される、『高額療養費制度』があります。
さらに、年収が少ない場合には保険料も最低で済むのです。
このように、日本の国民健康保険制度を利用し、高度医療を格安で受けている方も増えている実情があるのです。
特に、中国は経済が発展し中間層においても日本に来る機械が増えました。
そして、中国国内の医療機関は常に混雑していて、医療レベルも日本に比べればまだまだ低いです。
そのため、日本で医療を受けたいニーズが一気に増えているのです。
特に、日本の保険制度を活用した高度医療に対するニーズは制度が変わらない限り高まっていくでしょう。
医療ツーリズムと旅行業登録まとめ
医療ツーリズムは成長可能性が大きいビジネスです。
しかし、多くの課題があるのも事実です。
言語、宗教、文化など外国人を受け入れる体制を整えることができれば課題の解決は進みません。
医療施設や政府機関が本腰を入れて医療ツーリズムを進める必要があると思います。
近い将来的には病院のベットには常に外国人で埋まっている、そんな日が来るかもしれませんね。