旅行業をはじめる場合には事前に管轄行政庁へ登録をする必要があります。
また登録をしたからといって一生涯有効ではありません。
旅行業登録には有効期間があり、5年毎に更新をする必要があります。
また、法律を守らない不適切な旅行業者などには、業務の改善が必要であったり、場合によっては登録の取消しが必要となるケースもあります。
そこで、今回は旅行業登録をした事業者が事業を廃止した場合や業務改善命令をされた場合の手続きなどについてご案内していきます。
継続的に旅行業を営んでいくためにもしっかりと確認しておきましょう。
旅行業者が事業を廃止する場合
旅行業登録は、登録したからといって一生涯有効な制度ではありません。
また、旅行業登録をしている事業者が事業を廃止するケースもあるでしょう。
そのため、旅行業者が営業活動を停止する場合には3つの規定について定められています。
3つの規定に当てはまる旅行業者においては、30日以内に登録行政庁へ届け出が必要ですので忘れることなくしっかりと手続きをしましょう。
営業活動を停止等した場合の届出
- 旅行事業を廃止した、旅行事業の全部を譲渡した、旅行事業を分割によって承継させた
- 法人である旅行会社が合併により消滅した(届出人は法人の役員)
- 登録している旅行業者(個人)が死亡した(相続人が届出)
事業を廃止したり、事業譲渡等などした場合には届出が必要となります。
また、法人の場合は合併や消滅する可能性があります。
一方、個人事業主で登録をしている場合は死亡するケースも考えられます。
これらの場合には、登録行政庁への届出が必要となるのです。
また、旅行業者が死亡した場合で、相続人が旅行業務を引き継ぐ場合には、死亡の日から60日以内に申請手続きをすることで、登録可否の判断通知がされるまで引続き業務を継続することが可能です。
そして、この場合には登録に加え営業保証金も引継ぐことが可能です。
制度を理解した上で業務を引き継いでいきましょう。
業務の停止や登録の取り消し
旅行業登録には多くの要件があります。
また一生涯有効な制度ではありません。
そして、旅行業登録業者としてふさわしくない事業者においては、業務の停止や登録が取消しがされる可能性があります。
旅行会社は日々多くのお客様と旅行施設をつなぐ役割を担います。
そこで、法律や制度を守ることができない旅行会社に対しては営業を継続させないようにするのです。
それでは次に法律を守らない事業者に対する業務の停止や登録の取り消しに関して確認していきます。
登録行政庁による業務停止と登録の取消し
登録行政庁は、旅行業の営業をすることがふさわしくない事業者に対しては、業務の全部または一部の停止を命じることができます。
また、登録行政庁は以下に該当する場合は旅行業登録を取り消すことも可能です。
旅行業登録の取り消し・業務の停止
- 登録拒否事由に該当した又は登録当時から該当していることが判明した
- 不正の手段により旅行業の新規・更新・変更の登録を受けたとき
- 旅行業法等に基づく処分に違反したとき
登録拒否要件や不正の手段による登録や更新などを受けている場合には取り消される可能性が高いでしょう。
また、旅行業法などによる処分を受けた場合や業務の全部の停止措置や業務改善命令を受けたにも関わらず改善されない場合には登録取消しとなる場合も高いです。
さらに、旅行業者が登録を受けてから1年以内に事業を開始しなかったり、引き続き1年以上事業を行っていないと認めるときは登録を取り消されることもあります。
旅行業登録をするのに苦労された事業者様も多くいると思います。
登録が取り消されることのないようににしっかりと業務を実施していきましょう。
それでは次に、登録行政庁が行う、業務改善命令についてご案内していきます。
業務改善命令
登録行政庁は旅行会社が旅行業法の目的を害する事実があるとき、業務改善命令をすることができます。
また、あくまで登録行政庁(観光庁または管轄の都道府県観光課)が命令できるのであり、旅行業協会などは業務改善命令などをすることはできません。
業務改善命令には以下6つあります。
業務改善命令6項目
- 旅行業務取扱管理者の解任命令
- 旅行業務取扱料金や企画旅行の対価変更命令
- 旅行業約款の変更
- 企画旅行の円滑な実施のため旅行管理業務を適切に実施すること
- 旅行者に生じた損賠賠償をするために必要な金額を担保することができる保険契約を締結すること
- 上記以外で業務運営について改善が必要な措置をとること
登録行政庁から業務改善命令を受けたのにも関わらず、旅行業者が改善命令に従わない場合には、業務停止や登録取り消しとなる可能性があります。
業務改善命令を受けた場合には、すぐに改善に取り組みましょう。
特に旅行業務取扱管理者を解任しなければいけない場合には、新たな管理者を選任する必要があります。
人材確保には時間がかかりますので、すぐに対応する必要があるでしょう。
旅行業法の罰則
旅行業法に違反をした場合には、改善命令や業務の停止、登録の取り消しに加え罰則があります。
主な罰則は以下となりますので、どのような罰則があるのかを確認しておきましょう。
登録に関して不正をしたものや、無登録業者、さらに登録職種の範囲を超える業務をした旅行業者に対する罰則です。
また、上記の罰則以外にも、50万円の罰金、30万円以下の罰金、20万円以下の過料の罰則があります。
旅行業の廃止や登録の取消しについてまとめ
旅行業登録は一度登録したからといって一生涯有効ではありません。事業を継続できなくなれば、廃止の届け出がも必要となります。
また、法律を守らない事業者については登録行政庁より業務改善命令や営業の停止をされる可能性もあります。
さらに、登録時に不正登録をしたものや変更や更新の際に不正をした事業者等に対しては登録の取り消し処分が実施される場合もあります。
そして、登録の取り消し処分に加え、不正に登録などをした業者に対しては、100万円以下の罰金に処せられる可能性もあるのです。
不正登録をすると非常に重い罰則が適用されますので、絶対にやめましょう。
また、旅行業者は信頼の基にして、消費者と施設側をつなぎ仲介をします。
信頼にこたえるためにも、法令順守のもと旅行業務を取り組むようにしましょう。